G(重力)とGメーター

Twitterにて、ウイスキーパパアクロバットチームの内海さん(@JA14WP)がGメーターの記事を上げておりました。

DM等にて、Gメーターの見方が分からないとの話がありましたので、今回はGについて、そしてGメーターについてお話してみたいと思います。


Gとは

Gとは、重力の事を言います。一般的に「G」と表記されますが、これは英語のGravityの頭文字よりとっています。

厳密に言うと、物理学の慣例では、天体の表面重力を小文字のg、万有引力定数を大文字のGで表記するそうですが、ここでは単純にGと記載します。

我々が普段感じることはありませんが、地球には引力があり、地球上に存在する全ての物体は引力の影響を受けていますので、この力の鉛直方向の力のことを重力と呼んでいます。

つまり、重力というのは簡単に言うと、「地球に引きつけられる力」のことで、地表面での力を「1G」として表記しており、これはプラスにもマイナスにも作用します。

地表面から離れる(空に上がる)に従って、Gは減少していき、やがて0G(無重力)となります。

無重力では物体の重さを感じることがありませんので、重力は物体の重さに該当すると考えても良いかと思います。

細かいことを言えば

地球が物体を引き寄せている力・・と書きましたが、正確にはちょっと異なります。

実際は、「地球が引き寄せている力」から「地球の自転による遠心力」を引いた値になります。

さらには、引き寄せている力は地球表面の高さによっても変わりますし、遠心力も地球上のどの位置(緯度)によっても変化しますので、厳密に計算すれば「1G」とは限りません。

ちなみに、ジオイド上(標高0のこと)の赤道上では、重力加速度は9.7799 m/s^2(^2は2乗)ですが、南極の極地では9.83m/s^2となります。

一般的に言われている、9.8m/s^2は、国際度量衡会議で定数として利用されている数値で、正確には「9.80665m/s^2」となり、これを1Gと呼称しています。


飛行機との関係

飛行機も地球の上空を飛行していますので、常にGの影響を受けています。

通常の水平直線飛行を行っている時は、1Gの重力がかかっている状態です。つまり地上に普通に立っている状態と同じということです。

しかし、飛行機が旋回等の機動を行うと、Gに変化が生じます。正確には地球が引き寄せる力には変化はないのですが、遠心力が加わります。

旋回を行うと、その外側に遠心力が発生する。

次の図は、飛行機が旋回している図ですが、旋回を行う(曲率をもった機動を行う。)と、必ず旋回外側方向に遠心力が発生します。

この時、操縦者(機体)には、「重力」+「遠心力」が加わることになります。

この力の面白いところは、3次元の全ての次元で力が加わり、かつその方向も影響するという点です。

宙返り(ループ)といった機動の場合は、円の外側に遠心力が加わります。

ループは上方に旋回すると考える事ができる

しかし、遠心力に地球の重力が加わりますので、操縦士が常に4Gの荷重をかけて旋回していたとしても、ループの上方(背面姿勢)では、重力分が引き算されて、3Gになるというちょっと不思議な状態が生じます。


Gメータが装備される理由

飛行機が機動をする度に、遠心力が発生するということは、常に飛行機には力がかかっていると言うことになります。(もちろん操縦者にも)

この力が飛行機の強度限界を超えると・・・・壊れます。

酷いときには、翼の上面にしわがよったり、機体が変形したり、場合によっては翼やその付け根が折れたりします。

そこで、操縦者は「自分が乗り込んでいる機体の制限」を常に把握して、その制限を超えない運用(操縦)を行う必要があります。

そこで、搭載されているのがGメーターです。

Gメーター

メーターそのものには非常に多くの種類がありますが、基本は同じです。

ここでは、WPアクロバットチームの内海さんが搭乗している、エクストラのGメーターをご覧いただきます。

(内海さま、お写真提供ありがとうございます<(_ _)>)

エクストラに搭載されているGメーター(出典:WPアクロバットチーム内海氏)

目盛りの意味

目盛りに記載されている数字は、Gを表しており「マイナス5G」から「プラス12G」まであるのがわかります。

小さな一目盛りは、0.2Gで、1G毎に太線が表示されています。

色の意味

緑色の弧線は「常用運用範囲」を表しており、通常の使用において利用可能な範囲を示しています。

黄色の弧線は「警戒運用範囲」を表しており、特定の条件下で利用可能な範囲

赤色の放射線(10Gの所)は、「超過禁止」を示しており、これを超えて運用してはいけないことを示しています。

指針の意味

指針が3本ありますが、1.2付近を指している針は、「現在G」を示しています。つまり飛行中は機体にかかるGに応じて増減することになります。

マイナス側に示している指針とプラス側に示している指針は、「リセットするまでにかかった最大G及び最小G」を示しています。

つまり、このGメーターの写真はあるフライトを終えた後の写真で、当該フライトで「最大G:+7.2G」「最小G:-5.2G 」かかっているといえます。ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル

ちなみに写真のGメーターは内海氏が飛行後の状態を写真撮影しております。マイナス側が振り切っている(指針ストッパーに接触している。)点については、以下のようなコメントをいただいております。

本来はマイナスも8まで緑、10まで黄色で10に赤線だけど目盛が無いという仕様のせいです。

振り切れても大丈夫だといえる根拠は、プラスGで同じ速度、同じ軌道を飛んで、Gを確認、マイナスもそれと同じG以下になるよう操縦していることからです。

内海氏よりいただいたコメント

最大最小を記録する意味

操縦士、特にアクロバティックを行う操縦士や戦闘機操縦士は、常に機体の限界性能を出すことを要求されます。

もちろん、飛行中は各計器に注意を行って、決して制限を逸脱しないように運用していますが、やはり人間です・・ミスもあり得ます。

このため、Gメーターにはあらかじめ最大値と最小値を記録する機能が搭載されています。

左下にあるノブを回すことによって、3針全てが「1G」にリセットされます。通常はフライト後に各数値を確認して、問題がなければ次回フライト前にリセットを行います。

※ 地球上で静止している状態の重力は1Gなので、リセットすると1Gになります。(0Gではありません。)


空飛ぶたぬき
空飛ぶたぬき

Gメーターが搭載されていない機種では、制限G以下になる機動をするように操縦士が気をつけています。

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