定時飛行場実況気象通報式(METAR)解析の3回目です。
通報形式を以下に記載します。
アルファベットが羅列していますが、これは後ほどそれぞれ詳細を説明いたします。
前回
METAR
又は COR CCCC YYGGggZ NIL dddffGfmfmKT dndndnVdxdxdx
SPECI
ここまで解析していますので、その続きです。
RDrDr/VrVrVrVri
VVVV 又は w’w’ 続く・・
又は RDrDr/VrVrVrVrVVrVrVrVri
CAVOK
VVVV群:卓越視程
卓越視程とは、観測地点を中心に水平方向の全周360度に対して、180度以上で有効な視程を言います。
卓越視程はその距離に応じて通報間隔が異なります。
- 5000mまでは100m間隔
- 5000mから9999mまでは1000m間隔
- 10km(10000m)以上は、9999と報じる。
卓越視程が1000m未満の場合は、0を前置します。(例:0800/800mの意味)
0mの場合は、「0000」と報じます。
CAVOK
CAVOKは、「キャブオーケー」又は「カボック」と一般に呼称しています。
これは、以下のような条件を満たす場合に報じられ、簡単に言うと「天気が良い」事を指します。
- 視程10km以上
- 5000ft又は最低扇形別高度※のいずれか高い値未満に雲がない。
- Cb(キューモラニンバス:積乱雲)、TCu(タワーリングキューモラス:塔状積雲)がない。
- 現在天気が、天気略号表に該当するものがない。
※ 最低扇形別高度(MSA:Minimum Sector Altitude):飛行場を中心とした半径25nm(約46km)以内に含まれる、全ての障害物の高さに、平野部で300m(1000ft)、山岳部で600m(2000ft)の垂直間隔をもって設定した緊急時用の最低高度
RDrDr/VrVrVrVri又はRDrDr/VrVrVrVrVVrVrVrVri 群:滑走路視距離
滑走路視距離とは、RVR(Runway Visual Range)と呼ばれ、卓越視程が1500m以下、または着陸に使用できる一つ以上の滑走路の10分間平均滑走路視距離のいずれかが、1800m以下の場合に報じられるものです。
その意味としては、「滑走路中心線上の航空機操縦席から滑走路の標識、灯火をみることができる最大距離」を指し、視程が悪い状況下でパイロットがどれだけ滑走路を視認できるかの目安として利用されます。
計器進入では、着陸を行うか否か(進入を行うか否か)の判断基準ともなっており、重要な指標になります。
RDrDr部は、DrDrで滑走路方向を示します。滑走路01の場合は、「R01」と報じられます。
引き続き、観測前10分間の滑走路視距離が「VrVrVrVr」で報じられ、最後の「i」は変化傾向を表します。
変化傾向は、10分間の前半5分間平均と後半5分間平均で比較し、100m以上変化するような場合は、上昇でU(Upward)、降下でD(Downward)と報じ、変化がない場合はN(Non又はNil)と報じます。
「i」は、変化傾向がない場合は省略されます。
RDrDr/VrVrVrVrVVrVrVrVri部は、1分間平均の値が10分間平均の値よりも、50m又は20%のいずれか大きい値以上変化する場合に用いられ、1分間平均の最小値と最大値をV符号で挟んで報じられます。
滑走路視距離の測定は、飛行場内にある測定器で計測されますが、その測定範囲を超えるような場合があり得ます。
測定範囲の上限を超えている場合は、「P(Plus)」符号を前置します。また、下限を超えている場合は、「M(Minus)」符号を前置します。
滑走路視距離は、その距離によって報じる間隔が変化します。
- 800mまでは、50m間隔
- 800mを超える場合は、100m間隔で報じます。
W’W’群:現在天気
飛行場又はその周辺の天気現象を示します。
天気現象は、運航上重要な天気現象を略語表に従って報じ、最大で三つまで報じることが出来ます。
また、必要に応じて、特性や強度、周辺を示す符号が使用されることもあります。
強度・周辺現象
- -:弱い
- (表示なし):並
- +:強い
- VC:飛行場標点から概ね8kmから16kmの区域
特性
- MI:地(霧等で使用されます。)
- BC:散在(霧等で使用されます。)
- PR:部分(霧等で使用されます。)
- DR:低い(地上2m未満)
- BL:高い(地上2m以上)
- SH:しゅう雨性
- TS:雷電
- FZ:着氷性
降水現象
- DZ:霧雨
- RA:雨
- SN:雪
- SG:霧雪
- PL:凍雨
- GR:ひょう
- GS:氷あられ、雪あられ
視程障害現象
- BR:もや(視程1000m以上5000m以下)
- FG:霧(視程1000m未満)
- FU:煙(視程5000m以下)
- VA:火山灰
- DU:じん(視程5000m以下)
- SA:砂(視程5000m以下)
- HZ:煙霧(視程5000m以下)
その他の現象
- PO:じん旋風
- SQ:スコール
- FC:ろうと雲(陸上や水上の竜巻)
- SS:砂じん嵐
- DS:砂じん嵐
実際に報じられるときは、強い雨の場合「+RA」のよう組み合わせて報じられます。
今回は、数字が多くまた、天気略号の多さに驚かれたと思います。
基本的に日本で発生する天気現象は、上記の全てが該当することはあまりないので、時々忘れることもw
特に、視程障害現象の「霧」と「もや」が視程で区分されていたりと、かなり細かく規定されていますので、注意が必要です。
さすがに全部は覚えていない、空飛ぶたぬきですwww