中国軍機に対して空自機が妨害弾を発射した。
というニュースが一時期報道を騒がせました。
世間一般で報道されているお話ですが、あくまでも中国側の報道や見解を日本語に訳しただけにすぎません。
この件については、「日本が悪い。」とか、「挑発行為を日本はするな、」とかいう日本の報道はあまり見られなかった気がします。
先日、産経ニュースのウェブサイト(→リンク)で、このお話について記事が掲載されていました。
「やっと、まともな報道をする人が出てきたのかな」
と感じています。
日本の国境付近では、まさに防空の最前線です。
毎日のように、航空自衛隊や海上自衛隊が頑張っていますが、さて、「最前戦」って皆さんはどのように考えていますか?
最前戦
使用している漢字からすると、「前戦の最も前」です。
一般的には敵と味方に分かれている際に、互いの戦力が拮抗している線上の地点と言えます。
言い換えれば、「前線と超えると敵がいる。」ということになります。
最前線ですから、「最も」という意味もついていますので、「敵に最も近いところ」と言えますが、常に敵がいるとは限らないのが平時(戦争状態ではないこと。)における前線です。
現代の前線
現代の・・とつけましたが、ここでは「平時」の前線ということでお話します。
「平時に前戦があるのか?」ということを思われる方もいらっしゃるかと思います。
空飛ぶたぬきは常に前戦はすぐそこにあると思っています。
簡単に言うと、「国境」のことです。
国境とは言葉の通り、国と国との境目ですが、国境の外側がどこの国でもない日本ではぴんとこないかもしれません。
これが大陸にある国家であれば、国境を越えると別の国になるわけですので、敵とまでは言わなくても、自国民である所の権利や義務、保証といったものが存在しない所になります。
言い換えれば、「国境の外は、自身の保証はされない。」ということです。
通常は、国境の外に出る行為(平たく言う「海外旅行」)では、パスポートが皆さんの身分を表し、日本国民としての権利を守ってくれる証になります。
国境と前戦
平時の前戦は国境だとお話しました。
国境の内側では、「自国民の権利が保証される。」はずです。
では前戦の内側では「自国民の権利が保障される。」でしょうか?
どちらかというと、「とりあえず、前戦よりは安全・・・かもしれない。」という認識に変わるかと思います。
この違いはどこから来るのでしょうか。
みなさんの・・・というか、ほとんど大多数の方は、このように考えているかと思います。
「前戦=危険」で、「前戦以外=安全」という考えです。
先ほどの国境の考えと似ているかもしれません。
「国境内=自国」で、「国境外=自国ではない=外国」ですね。
戦争←反意語→平和
自国←反意語→外国
前戦←反意語→前戦ではない
「あれ?」と思った方もいると思いますが、「ではない。」という表現に違和感を感じませんか?
平時において国境が持つ重要性
平時の前戦である国境
「毎日、別の国の航空機や船舶が、日本の国境に出入りできそうなところまで近づいている。」
どうですか?みなさんの権利や保障をしてくれている国の境目が、「自国とは異なる文化、言語、習慣等を持つ国」によって、進入される可能性がある。
諸外国を全て、「怪しい」とか、「危険だ」として見ることを推奨するわけではありません。
きちんとした国際法規に基づいた方法であれば問題ないですし、たくさんの国に対して理解を深めるべきです。
ならば、近づいたくらいでいちいち騒がなくても放っておけば良いんじゃないか?というご意見もあります。
では、こんな例えはどうでしょうか。
ある広い平原に、みなさんが所有する土地があるとしましょう。そして、その一角は鋭角にとがっています。
そのとがっている角を、車が毎日曲がっていくとします。
最初は、とがっている角に車が入ることを嫌い、注意していましたが、いっこうに言うことを聞いてくれません。
注意することに疲れたみなさんは、やがて「少しくらいなら・・」と思い始めます。
毎日毎日、何台もの車が曲がるうちに、角がとれて、丸くなっていきます。
みなさんがふと気がついたときには・・・・。
その先は言わなくても分かりますね。
国境というのは、とても大切でかつ厳密に守るべき国の境界線、ほんの僅かでも超えてはならない境目なんです。
いま、日本は平時です
これを「平和です。」と同じ意味にとっている方がたくさんいらっしゃいます。
空飛ぶたぬきは、平和だなーとは思いません。平時だなーと考えています。
平時とは、「戦争状態にない。」だけです。
アラート勤務(対領空侵犯措置のための待機勤務)について、スクランブルで国境付近まで飛行すると、そこは「平和」ではありません。
単に、武器を発射したりする事がないだけで、立派な戦場だと言えるのかもしれません。
そこでは、言葉では言い表す事ができない強い緊張が支配する、きわめて特殊な空間です。
戦争状態ではありませんが、私にとっての前戦と言っても良いでしょう。
そして、みなさんはその前戦の後ろにいるのです。
国境が洋上にある日本
この地球上では、常にどこかで戦争が行われています。
みなさんは、「戦争状態にない。」いまの状態で幸せなのかもしれませんが、少しだけ言い方を変えると、
前戦の後方にいる
だけなんです。
どれくらい後方になるかによって、その場所の安全性は変化しますが、恐らくだれも「これだけ離れたら安全」とは言えないでしょう。
日本の国境は全て洋上にありますが、これは「海を越えないと」日本に対して何もできないことを示しています。
日本が人間学的に独立し、一つの朝廷を維持し、政治や主権を侵されず、独自の文化を保ってこれたのは、国境が洋上だったからだと考えています。
日本に侵攻しようとする国は、この長い洋上を越えることが非常に困難だった。
しかし、現代はどうでしょうか。
前戦の反意語
先ほど、「前戦ではない。」という言葉を使いましたが、実はちゃんとした言葉があります。
前戦の反意語は、「銃後」です。
もしよろしければ、辞書や広辞苑、インターネット等で調べて見てください。
「直接の戦場ではない」や、「戦場の後方」という言葉が出てくるはずです。
戦場(前戦)の後方はどれくらい離れれば安全なんでしょうね。