航空祭にいったり、基地で飛行機や戦闘機を撮影している方から質問
「この写真のミサイルって、模擬弾ですか、それとも実弾ですか」
外からというか、遠方から見るとわかりにくいですね。でもミサイルに関して言えば、すぐに分かる方法があります。
(ただし、航空自衛隊の空対空ミサイルに限定しますけど。)
訓練弾、通称模擬弾は、「青色の線が入っています」
実弾は、「茶色の線が入っています」
これは、もう単純に間違えないために線が入っているのです。
実は模擬弾も実弾も線がなければほとんど同じに見える
模擬弾をそこまで似せて作る必要があるのでしょうか。
結論から言うとあります。
というのは、模擬弾は主に訓練で使用します。
その訓練というのは、飛行機に搭載してパイロットが射撃の訓練に使うという、ごく一般的なお話はもちろん、地上の整備員がミサイルの搭載訓練等もあります。
なので、「大きさや重さももちろん、形状も同じにしておく必要があるのです。」
では機能的にはどうでしょうか。
機体に搭載されたミサイルは、シーカーと呼ばれる目を持っていますが、シーカーが相手機をとらえないと、ミサイルはうつことができません。(実際は、とらえていなくても撃つことは出来るけど。。。あたらないかも)
射撃の基本的なシーケンスは
- 相手機をロックオン
- 相手機の軌道計算を行い、射撃可能な距離と相対位置を計算
- 上記の情報をもとに、ミサイルでの追尾の可能性を計算(ミサイル側での情報処理もしてます)
- ミサイル追尾可能と判断したところでパイロットに射撃可能指示
- パイロットが射撃操作(ピックル操作という。)
- 機体側で計算された情報等をミサイルに転送
- ミサイルがランチャーより離脱
- 7の際、データを転送するケーブル(アンビリカルケーブルという。)が切断
- 以降、ミサイルの追尾計算をもとに、相手機まで飛行
という流れです。(簡単に概要を書いてます。)
もちろん、赤外線ミサイルなのか、レーダーミサイルなのかによっても異なります。
ここで、大事なのは、
ミサイルが機体から離れる瞬間まで、機体から情報をもらっている
なので、模擬弾といえども、シーカーやコンピューターは実弾と同じ物がはいっているのです。
ないとすれば、推進薬と呼ばれる火薬とか、炸薬と呼ばれる破壊するための火薬、近接信管(爆発させるための機能)や翼のコントロール系統でしょうか。でも、その分軽いってことはないです。
機体に搭載したときの重心位置やバランスも考慮してますので、代わりにおもりが入っている。
でも、見た目は限りなく一緒(色は除きますね)なので、
「発射しない、爆発しない」くらいしか違いがない。
そこで、見た目ではっきりと分かるように、色の帯が付いているのです。
離陸前なら、もう少し分かる情報もありますが、これは近いうちに航空よもやま話でお話しましょう。