フォアードスリップはRWYに対してアラインした状態でクラブ及びバンクをとって降下すると思うのですが、サイドスリップはファイナルコースに対して斜めに進入する形式であってアラインした状態ではサイドスリップとは言わないのでしょうか。
そして、両者はあくまで高度を下げるために行うのであってクロスウィンド時にクラブやウイングローをする行為とは別物なのでしょうか。
以下、分けて説明いたします。
恐らく技能証明(事業用)の試験科目としてのご質問かと思います。
Slip Approachは、ForwardもSideも同じSlipという言葉を使用しますが、性格は異なります。
以下、それぞれ分けて説明しますね。
Forward Slip Approach(以下、「FWA」)
通常着陸で言う、「横風着陸」と同様と思ってもらってかまいません。 その目的は、「滑走路に対して機軸を同じにして、機体のタイヤ方向を進行方向と同一にする。」ことです。主車輪に偏向機能がない小型機では、横滑りしながらの着陸は、バースト等の危険があります。 このために、機軸を滑走路方向に合わせて接地させるために使用します。FWAのバンク角は、相対風の横風成分量によって変化しますので、任意に大きくとったりすることはありません。
Side Slip Approach(以下、「SSA」)
最終進入(Final Approach Leg)において、脚やフラップのオーバースピードをすることなく降下するために使用します。その目的は、「接地点手前に障害物がある。」や「意図せず高い最終進入になった。」場合に降下率を得ることにあります。 横風があってもなくても、SSAは可能です。 最終進入経路にアライン後、ラダーを風上側に最大限踏み込み、経路を滑走路延長線上を飛行できるようにバンクを制御します。一般に、ラダーによるYAW角よりも、エルロンによるROLL角のほうが大きくとれるため、先にラダー操作を行うのが一般的になります。
このように、
FSAは「機軸を滑走路延長線上に一致させる。」
SSAは「飛行経路を滑走路延長線上に一致させる。」
と目的が異なります。
通常のCrab Approachは、「横風に対する変位を0にする。」ことが目的です。 Crab Approachは「機軸は滑走路延長線上からずれており、降下率は通常降下とほぼ同じ。」です。 このため、FSAでもSSAでもないといえます。
ただし、Wing low Approachは、FSAと言っても問題ないとも言えます。 Wing low Approachは通常接地前に「接地のために」行うものであり、Final Approach Legすべてで行うようなことはあまりありません。
ある意味、FSAは実地試験のためのWing lowといっても良いと思っています。